地元にある小さなコーヒー豆の焙煎店。
いまにも潰れそうなその店を若い店主が営んでいる。
前の店主が高齢になり、一念発起して会社を辞めてその潰れそうな店を引き取ったらしい。そしてその店の味を引き継ぎ、焙煎時の温湿度管理に神経を注ぐ。
入れたての珈琲の味と香りは抜群で、病み付きになる。
しかしその小さな焙煎店がそのコーヒーの香りのように繁盛しているようにも見えない。
苦しい状態でも豆を求めて来てくれるお客さんに美味しい豆を提供したいという思いから、店を開けるために夜もバイトをしているのだとか。
さえない店構えだが、そこが美味しい焙煎店であることに気づいてもらえたらと、勝手にチョークボードを作り「プレゼント」と称して押し付けてきた。
そんな中で、お客さんから「看板を替えたら?」「店の前を花で飾ったら?」と意見をもらうこともあるのだという。
親が亡くなったので預かってくれ、と父親の形見だったコーヒー産地の世界地図を置いて行った人もいるとか。
小さな焙煎店を地域の人が見守り、応援している。